すたじお実験室がWindows95&98用に開発したノベルゲーム。音楽は樋口秀樹氏、95、98のソフトにしては珍しい「アルトラマリン」というサウンドドライバーを使用している。いつもながら華麗なメソッドで音符を美しく配置しているが、特筆すべきは見逃しがちな「音色の作り込み」である。
この時代はCDやストリームをシームレスにループ再生する方法がなかったため、バーチャルPCMシンセサイザ「アルトラマリン」をゲームに実装、合理的にシームレスループを実現している。ただし、PCMシンセサイザには自作の音色データが必要であり、マルチサンプリング、ループ処理、エンベロープ処理などを作曲者自らが用意しなくてはならない。それには様々な困難が伴ったはずだ。
ノベルゲームはお手軽な仕様が多い中、たとえノベルゲームであっても手は抜かない…そんな静かな闘志が伝わってくる一作である。