「一風変わったレースゲーム」は、メサイヤの秘かな得意ジャンル。この路線の代表作はもちろん『モトローダー』シリーズということになるが、『ウイナーズホース』もまた、見逃すことのできない隠れた秀作だ。
後に『ヴァルケン』で勇名を馳せる土田俊郎氏がプロデュースしただけあって、小粒ながらも油断のない出来となっており、サウンドについても相当の練り込みがみられる。陽気なカントリーは岩垂徳行によるもので、音楽だけでこれだけ楽しませてくれる競馬ゲームは、そうそうないだろう。
一聴すると気づきにくいかもしれないが、当時のゲームボーイ音楽としては抜群にテクニカルな仕上がりで、激しいオートパンや高速アルペジオなど、海外ゲームミュージックか?とさえ思わせる仕掛けを縦横に駆使している。それもそのはず、データコンバートは崎元仁氏が担当しているのだ。コミカルなゲーム音楽は一般になかなか正当評価されないが、これは埋もれるには惜しい傑作といえるだろう。