早すぎたレトロ2Dアクションへの回帰……! 1999年にニュー(後にアーテインへと発展)から発売された『ちっぽけラルフの大冒険』は、当時絶滅しつつあった「非ポリゴン」な2Dアクションを、見事な完成度で甦らせた、奇跡のプレイステーション作品である。そのサウンドトラックが、EGG MUSIC より、まさかの配信! 通常版とPSG版あわせて120曲を超える怒涛のボリュームをお楽しみください。
このような正統レトロスタイルのゲームは、今でこそ珍しくないが、今から10年前には、ひたすら孤高の挑戦であった。その点はサウンドについても同様だ。本作には通常サントラに加え「PSGモード」が用意されているが、これも商業作品では初の試みである。当時日本には、まだ8ビット・リバイバルもチップチューンも存在しなかったのだから、これも時代を先取りしすぎた感覚だったとお分かりいただけるだろう。作曲は黒沼弘、土屋直樹、佐藤英樹の3名。全体としては渋さの光るロック・テイストの作風が目立つが、もちろん「レトロ」スタイルならではの楽曲も要所にちりばめられている。
見た目の単純明快さとは裏腹に、本作は開発にかなりの時間をかけた、真に入魂の一作である。そもそも初期にはX68000向けに開発されていたという(ちなみにニューはX68000版『プリンセスメーカー』を発売していた。これは同機における最後の商用ゲームのひとつとなった)。つまり『ちっぽけラルフの大冒険』は、レトロであると同時に、生粋の16ビット生まれでもあったのだ。こうしたルーツ面での奥深さも、アーテイン作品を通底する魅力といえるだろう。