思ひ出小箱

夏の夜は……レトロホラーゲー!?

夏にホラーは欠かせない。1987年は当たり年!

ゲームのテーマには、ファンタジー、SF、スチームパンクなど、様々なモノがあるけれど、夏ならでは……といえばホラーモノを語らないわけにはいかない。まあ、今年は冷夏だったり、もうすぐ夏も終わりになってしまうという突っ込みどころはあるかもしれないけれど、そのあたりは目をつぶってもらうとして、今回はレトロなホラーゲームを紹介してみたい。

さて、筆者が知る限りで最も古いホラーモノといえば、1984年にボーステックからリリースされた『妖怪探偵ちまちま』だろう。これは一つ目小僧が主人公で、コントロール可能な人魂爆弾?を発射して妖怪を倒すというアクションゲームだった。“精神的にくるもの”はなかったものの、初期のホラーモノはこんな感じのものばかり。単にキャラクターとして幽霊や妖怪が登場するだけのものだったのだ。

ところが1987年になると、ホラーモノに新たな兆しが見え始めた。敵や味方を幽霊や妖怪にしただけではなく、ゲームの雰囲気を重視したものが登場するようになった。その代表作がハミングバードソフトのホラーRPG『ラプラスの魔』である。これは探偵、ジャーナリスト、科学者、霊能者などがパーティを組んで、ウェザートップ館という幽霊屋敷のを探索するというもの。幽霊(?)を倒しても経験値のみしか手に入らず、写真を撮影してお金を手に入れたり、恐怖で錯乱状態になるキャラクターがいたりと、実にインパクトのある内容だった。当時、RPGといえば勇者が魔王を倒して世界を救う……なんてものが主流だったから、賛否両論はあったものの、多くのRPGファンが衝撃を受けたのである。また本作では、当時の日本のゲーム業界ではマイナーだったクトゥルフ神話をベースにしていた点もマニアから評価されていた。そうした人気も手伝って、1994年には続編の『パラケルススの魔剣』もリリースされている。

  • 『ラプラスの魔』

    クトゥルフ神話をテーマにしていたり、安田均が原作というのもマニアにとってはポイントが高い。

  • 『パラケルススの魔剣』

    前作から6年後の世界を描いている。格段にビジュアルが強化された。

また『ラプラスの魔』と同年には、スタジオWingからホラーアドベンチャー『魔界復活』がリリースされている。本作はコマンド選択式のアドベンチャーで、ルポライターの神城明が九州で発生した霊願寺住職の失踪事件を調査するという内容。なかなかに独特の雰囲気を持っており、残酷な描写なども話題になった。ちなみに同社は翌年には『怨霊戦記』もリリースしており、スタジオWingはホラーやサスペンスなど、魅せるアドベンチャーゲームを作れる会社として認知されていった。なお『怨霊戦記』では、人間の残酷性なども表現しており、大人も楽しめる(むしろ大人が楽しめる)ホラーモノとなっていたのが印象的だった。1987年、88年の夏は涼しく過ごせた人が多かったに違いない。

  • 『魔界復活』

    失踪した住職探しが意外な展開に。独特のタッチがいい雰囲気を出している。

  • 『怨霊戦記』

    画面の中央をよく見てほしい。プレイ中にこういった画面が出て、ドキッとした人も多いはず。

90年初頭を代表する、ホラー&オカルトPCゲーム

ホラー/オカルトといえば、日本テレネットから1993年に発売された『妖撃隊』もオススメだ。日本でも大流行したノストラダムスの大予言をテーマにしており、恐怖の大王を降臨させようとするカルト教団と、それを阻止する妖撃隊との戦いがアツイ。編成したチームごとに数々のミッションを攻略するのだが、なんと登場する仲間がランダムだったことから、繰り返してプレイできるRPGとしても人気となったことはレトロゲームファンの間では有名だ。

  • 『妖撃隊』

    ホラーという怖さは控えめの『妖撃隊』。狂信者との戦いが楽しめるRPGだ。

また、ユニークな会社で知られるコンパイルもホラーゲームを作っていた時期もあった。1990年にリリースされた『破滅の妖刀』と、その翌年にリリースされた『破滅の妖刀II 凶変の館』がそれ。どちらもアドベンチャーゲームで、メインのプレイキャラを変更できるというユニークなシステムを採用しており、プレイキャラを替えることで相手の反応が変わるという面白さがあった。『破滅の妖刀』は夜の博物館を舞台にしていたためホラーらしい雰囲気も十分で、ボリューム感はそれほどなかったものの、それなりに楽しめたタイトルである。

  • 『破滅の妖刀』

    夜の博物館というシチュエーションは、ホラーとしてはうってつけ。

最後にEGGでは未発売ながらも、90年初頭代を代表するホラーゲームを紹介しておきたい。海外ゲームになってしまうが、1992年にInfogramsからリリースされた『アローン・イン・ザ・ダーク』は、業界に衝撃を与えるホラータイトルだった。ゲームは3Dのアクションアドベンチャーで、私立探偵エドワード・カーンビーが呪われた館を探索するというもの。アクションアドベンチャーとして3Dポリゴンを採用していたことも珍しかったが、なによりも斬新だったのがカメラワークだ。本作では視点が定点ではなく映画のようにシーンに応じて効果的に切り替わるのだ。当時、こうした手法を用いたゲームは皆無で、実に怖いシーンを作り上げたのである。難度が非常に高かったことだけを除けば超名作といえるし、本作は多くのゲームタイトルに影響を与えたといっても過言ではない。おそらく『バイオハザード』もなんらかの影響を受けたタイトルといえるだろう。ちなみに日本ではアローマイクロテックスから日本語が発売されていた。

とまあ、EGGで配信されているタイトルを中心に、夏に向いたホラータイトルを集めてみたのだが、いかがだっただろうか? 残暑を乗り切るために、せっかくの季節ものだし、この機会にプレイしてみてはいかがだろうか。