思ひ出小箱

クリスタルチェイサー制作者インタビュー

遂に6/15配信開始。特別インタビューを掲載しますよ!

クリスタルチェイサー制作者インタビュー

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発売年:
1991年
メーカー:
日本テレネット
機種:
PC-9801
ジャンル:
アドベンチャー
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クリスタルチェイサー復活!

今回は思い出小箱特別編として、今から26年前の1991年6月15日にPC-9801向けに発売された『クリスタルチェイサー』のプログラマーで、『あーくしゅ(PC-9801版)』や『斬~夜叉円舞曲~(PC-8801版)』『新撰組』などに携われたTOMOさんへのインタビューをお送りいたします。

聞き手:プロジェクトEGG運営スタッフABE

ABE:
長い沈黙を破り、クリスタルチェイサーがプロジェクトEGGにて配信となります、おめでとうございます! いろいろお伺いしたい事はあるのですが、まずはTOMOさんがまだ子供だった頃のゲームの原体験とかはありますか?
TOMO:
インベーダーやムーンクレスタ、トランキライザーガン、パックマン、クレイジークライマー等を駄菓子屋・コインランドリー・ゲームセンターでよく遊んでました。
ABE:
あの頃は町の至る所に駄菓子屋がありましたね。 私の家の近所では「スターフォース」「Mr.DO」「アルゴスの戦士」がありました。
TOMO:
家庭用だと、ピンポンやゲームウォッチが最初です。
プログラムは、FX-602Pというプログラム電卓で、数字だけで遊べるドンキーコングを作った記憶があります。
確か中学生の頃でしたね。
ABE:
FX-602Pはカシオのプログラム電卓ですね、中学生の頃からプログラムを組んでいたとはすごいですね!
TOMOさんが本格的にゲームにのめりこんだ理由・きっかけはありますか?
TOMO:
友人がPC-8001を持っていて、家でゲームセンターのゲーム(もどき)ができることにすごく驚きました。
当時はカセットテープからロードするのですが、いろいろなゲームを切り替えて遊べる魔法の箱のように思えました。
ABE:
あのピーブーガガガという音が懐かしいですね、データレコーダー。
TOMO:
自分でパソコンを所有するまでは、朝早く秋葉原のパソコンショップに出かけて、店頭パソコンを使わせてもらうのが楽しかったですね。

私が最初に所有したパソコンはPC-8801です。PC-8801のゲームだと、やはりENIXコンテストの作品が抜きんでてました。
ドアドア、アルフォス、ニュートロン等、ゲーム性や技術、グラフィックが素晴らしかったです。
ABE:
当時の秋葉原は電気屋が本当に多くて、大抵のショップでは店頭デモ機が置いてありましたね。
デモ機でゲームをプレーしたり、簡単なbasicプログラムを打ったりしましたね。

TOMOさんはPC-8801をお持ちだったという事で、ゲームにますますハマったのではないかと思いますが、そんなTOMOさんがゲームプログラマーになろうと思ったきっかけはありますか?
TOMO:
当時のパソコンは、一部ゲームはカセットテープで販売されていましたが、雑誌にゲーム等のプログラムリストが載っていて、それを苦労して手で打ち込んで遊んでいました。
そういった中で、BASICやアセンブラを自然に覚えていきました。
ゲームの残機を増やしたりする改造でもマシン語解析が必要なので、Z80のコードやパソコン内部の構造を学習できました。
PC-8801の機械語モニタモード(BASICからMONで起動)に簡易アセンブラが付いていて、これをよく使ってましたね。

当時はインターネットはもちろんなかったので、雑誌や書籍が頼りです。
本格的なゲームの作り方は、日高徹さん著書のゲームプログラム本がとても参考になりました。
ゲームを作る場合、何が必要だろう?と考えて、必要なものから作っていきました。
キャラクター作成ツール、オリジナルDOS、サウンドドライバー、画面スクロール処理、オリジナル画像圧縮・展開プログラム、マウスドライバー等です。
キャラクター作成ツールは当時のマイコン誌(電波新聞社)、オリジナルDOSはT-DOSという名称でPCマガジン誌(ラッセル社)に、それぞれ掲載されました。
私の場合、ゲームプログラマーというよりは、パソコンという魔法の箱で自由に何かを作るのが好きだったんでしょうね。
ABE:
ログインやベーマガ・ASCII・I/Oなど当時のPC雑誌はほとんど何かしらのプログラムリストを掲載していましたね。
パソコンは自由に何かを作れるという魔法の箱というのも面白いですね。
その中でも、ゲーム作成のツールからしっかり構築していく辺り、プログラマーとしての土壌のようなものが自然とTOMOさんに備わっていったのかもしれませんね。

そんなTOMOさんが、ゲーム業界へ行かれるのは必然だったかもしれませんが何かきっかけはあったのでしょうか?
TOMO:
ゲーム業界との繋がりは、当時のENIXにDQIIのPC-88VA版を持ち込んだのが最初のきっかけになります。
まだプロトタイプの出来でしたが、私はここまで作れば完成できると思って、無謀にもいきなり持ち込みました。
雑誌社に持ち込む漫画家の感覚ですね。

ENIXは個人プログラマーも活躍されていたので、持ち込み後に、担当の方から色々アドバイスもらったり、ファミコンゲームのテストプレイや新作パソコンゲームのミーティング等に参加させてもらったりしましたが、なかなか具体的な作品には繋がらずでした。
その間、担当者からこの技術を独自で持ってないと、等のアドバイスがあるので、先ほどの画像圧縮や画面スクロール処理等、ゲームに必要となる様々な基本技術・ツールを独自で作っていきました。

この技術やツールを早く活かしたいと思って、当時のアルバイト雑誌(フロムA)をみていたら、ウルフチームが外注プログラマーを募集していたので、面接に行ったら、運よくすぐ作品を任される事になりました。

ウルフチームはファイナルゾーンやYAKSA等でよく知っており好きなソフトハウスでしたが、当時はどんな場でもいいので、とにかく自分の技術を活かしたい、という思いが強かったですね。
ABE:
DQIIのVA版を勝手移植ですか?すごいですね!
当時は各メーカーがプログラマーコンテストを行なっていたり、製作者がかなり表に出ているタイトルも多かったですよね。
そんな中たまたまアルバイト雑誌を見つけてウルフに参加された、運命ですね!
しかもどんな場でもいいって(汗)。

所であの頃のゲームソフトメーカーは勢いがあったと思います。PCも黎明期から16Bitの時代に進んでいたと思いますし、コンシューマーもPCエンジンやメガドライブなど80年前半とは随分状況が違っていたのではないでしょうか。
そんななかウルフチームの当時の雰囲気はどのような感じだったのでしょうか?
TOMO:
ウルフチームはとにかく活気がありましたね。今でいうベンチャー企業そのものでしょうか。
社員もみな若く、誠実にゲーム作りに取り組んでいました。

ただ、どの作品も開発期間がかなり短いので、どうしても完成度が十二分にはならなかった印象です。
私は外注プログラマーだったので、作品一本いくらで任せる、みたいな契約形態でした。

先ほど話した通り、アルバイト雑誌で面接して、いきなり1本任せてくれたので、それが嬉しかったですね。
作品名は「あーくしゅ」のPC-8801版です。企画の方、シナリオの方、グラフィックの方、音楽の方、どの方も優しく色々教えてもらいました。
ただ、開発期間はかなり短くて、10月末が面接だったのですが、同年12/24のクリスマスが発売日でした(笑)。
ABE:
あの「あーくしゅ」がデビュー作だったのですね!
BASICマガジンの四コママンガがまさかウルフチームから正式なタイトルとしてリリースされた事に当時は驚きました。
また、周りのスタッフの方々の雰囲気も伝わってきて、ウルフチームは良い会社だったのではないでしょうか。

TOMOさんは「あーくしゅ」以外にも何タイトルが制作されているかと思いますが、エピソードはありますか?
TOMO:
ウルフでプログラムを担当したのは、「あーくしゅ(PC-8801)」「あーくしゅ(PC-9801)」「斬~夜叉円舞曲~(PC-8801)」、「クリスタルチェイサー(PC-9801)」「新撰組~幕末幻視行~(PC-9801)」の5作品です。
最初の3作品は、いろいろ新たに作ったり考えたりする部分が多くてそれなりに苦労しました。

特に夜叉円舞曲のコンピュータ側の思考ルーチンをどう作るべきかは、何も参考となるようなものは無いので、かなり悩みながら作り上げました。マスターアップ前もきつくて、5日で3時間しか寝れなくて、手首ってなんて細くなるんだろう、と感じたのを覚えています。
ABE:
ゲーム業界あるあるとはいえ、若さゆえ頑張れる感じですね(笑)。
TOMO:
プログラム面では、ウルフから提供してもらったものは、DOS(ディスクオペレーションシステム)とサウンドドライバーで、それ以外は自作です。

WOLF-DOSのPC-8801版は、圧縮されたファイルをディスク側のCPU・メモリ領域で解凍しながら読み込めるのがなかなか画期的でした。サウンドドライバーは、機種間でデータに互換性があって、別の機種でも音色を合わせればちゃんと鳴るところがよくできていました。

ちなみに、画像圧縮方式は、この5作品は、すべて私のオリジナルのものを使ってます。
ABE:
なるほど、PC-8801はFDD制御用にサブCPUが搭載されており、そちらを活用できるオリジナルDOSがあったのですね。

独自画像圧縮方式を実装していたという事で、当時は今より情報が少なかった時代ですからかなり苦労されたのではないでしょうか。

ちょっと話は逸れてしまいますが、ウルフチームといえばアクション、アクションといえばグラナダやソルフィースを思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ウルフにはBug太郎さんが在籍されていたのは有名な話ですね。
TOMO:
私がウルフでプログラムを担当し始めた前後で、グラナダ(X68000版)の豊田さんや、ソルフィース(X68000版)の谷(Bug太郎)さんが入社されていました。この当時のウルフチームには若い才能が集まっていたと思います。
斬~夜叉円舞曲~のオープニングで、伊織が走るシーンがあるのですが、ここは谷さんに担当してもらった部分です。
ABE:
あのシーンは谷さんが担当されているんですね!

さて、いよいよクリスタルチェイサーの話をお伺いしたいと思います。
この作品が企画された経緯などはありますでしょうか。
TOMO:
クリスタルチェイサーは、鈴木Gさんが企画されたもので、ずっと温めていた物語・ゲームシステムだったのだと思います。
鈴木Gさんは、当時のベーシックマガジンのウルフコーナーで、アークスの4コマ漫画を連載していたので、ご記憶にある方もいらっしゃるかもですね。
この作品は、鈴木Gさんの想いが詰まったものになっていて、私自身もいちプレイヤーとしてすごく気に入っている作品です。
ABE:
あーくしゅの4コマを担当されていた方でしたか!あの4コマはたいへん和むキャラクターが登場していましたね。
TOMO:
鈴木Gさんは、あーくしゅではキャラデザ・グラフィック、斬~夜叉円舞曲でもグラフィックを担当されていたのですが、この時まではそう接点は多くなく、クリスタルチェイサーで本格的にタッグを組んでの作品づくりとなりました。

鈴木Gさんが、企画、ストーリー、キャラクターデザイン、グラフィック、演出等、大部分を担当されているので、クリスタルチェイサーは鈴木Gさんの作品と言えると思います。 鈴木Gさんは、男気のある真面目な方で、誠実な人柄が、クリスタルチェイサーという作品からも感じられることでしょう。
ABE:
確かにクリスタルチェイサーをプレーしていると分かるのですが、和むキャラクターとは裏腹にストーリーは凄いしっかりしていますね。
TOMOさんも制作に参加しながら魅了されたクリスタルチェイサーですが、開発中のエピソードはありますでしょうか。
TOMO:
クリスタルチェイサーは、プログラム面では過去3作品の経験を活かして余裕を持って取り組めたので、一番丁寧に作り上げられた作品だと思っています。

オープニングやエンディングの絵コンテはすべて鈴木Gさんが書かれていて、それを私が技術的に落としてプログラミングする形です。
オープニングもエンディングも丁寧に落とし込みました。

余談ですが、当時ラスタースクロールというのが流行っていて、オープニング後半で音楽の尺が余ったので、PC-9801の力技プログラムでラスタースクロールをやってみています(タイトルがぐにゃぐにゃするところです。遅いですけど)。
ABE:
ラスタースクロールはコンシューマー機では見かけますが、PC-9801のタイトルでは頻繁には見ない演出ですよね。
TOMO:
クリスタルチェイサーは、独自のアドベンチャーシステム上で動いていて、ゲーム中のシナリオやキャラクターは、すべて独自スクリプトで設定されています。
キャラクターをいくつでも重ねて自由に動かせて、画面エフェクトも30種類用意しています。

また、音楽は、桜庭さんを中心としたオリジナル曲に加えて、過去のウルフ作品から、かなりの曲を追加しており、なんと全57曲が使われています。
ウルフは曲データが機種間で共通で使えるので鈴木Gさんがイメージに合う曲を自由(勝手?)に持ってきて使っていました。
夜叉円舞曲やソルフィース、あーくしゅ、ガウディ等いろいろで、これも楽しめると思います。

苦労したのは、エンディングで星が流れるのですが、マスターアップ直前で、この星が止まって暴走してしまうバグがありました。
時間があまり無い中で、この原因がなかなか分からず大変でした。
確か割り込み先のレジスタの変数保存が漏れていて、一定確率で不具合が発生する形だったかと思います。
今でもエンディングを見ると、止まりそうでちょっと怖いのです(笑)。
ABE:
ああ、そのお気持ちよく分かります(笑)。
数々の苦労があったなか遂に販売されたクリスタルチェイサーですが、反響などはありましたでしょうか。
TOMO:
クリスタルチェイサーは大作ではないのですが、最後まで遊んでいただいた方には、一定の評価をいただけていると思っています。

確か発売数か月後のゲーム雑誌(ポプコム)の読者投稿欄だったと思うのですが、「クリスタルチェイサーを最後まで遊びました!一般的には佳作かもしれませんが、私にとっては、天空の城ラピュタを見たあとに近い感動できた名作でした!」というコメントがあり、私の感覚ともマッチしていて、とても嬉しかったですね。

読了感、というか、エンディングを迎えた時にさわやかな感動があります。ぜひ最後まで遊んでみて下さい。
ABE:
ぜひレトロゲームファンの方にはプレーして頂きたいですね。
最後にTOMOさんから一言ありますでしょうか。
TOMO:
1991年6月15日のクリスタルチェイサー発売から26年経ちますが、鷹之進と野苺の色褪せない冒険物語を是非ご堪能いただければ幸いです。

P.S.鈴木Gさんを始め、当時お世話になった皆さま、お元気ですか?もし見ていたらFacebook等で是非ご一報下さい!

P.S.2 最後まで読んでいただいた方に、クリスタルチェイサーの隠しモードをご紹介します。できればゲームをクリアした後にお試し下さい。

<メニュー画面>

お姉さんの額の宝石をクリック ⇒「プログラマールーム」に入る

お姉さんの持っている水晶玉をクリック ⇒「おまけ小劇場」に入る

<1話の最初(ショー会場)>

画面右上の黒い球をクリック ⇒「スタッフルーム」に入る

<2話の最初(峠の道)>

画面左上の部分(1/4円のところ)をクリック ⇒「秘密の更衣室」に入る

<エンディングの最後>

指定キーで操作

M: 音楽を切り替える

S: スタッフメッセージ表示

T: タイトル表示

C: クリア

F: Finの表示・非表示

P: フィナーレメッセージ表示