思ひ出小箱

冒険浪漫

看板タイトルになれなかった!?隠れた名作

冒険浪漫

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発売年:
1986年
メーカー:
システムソフト
機種:
PC-8801
ジャンル:
アクション,ロールプレイング
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システムソフトを代表する隠れた名作?

各ゲームメーカーは、ファンタジー、戦国時代、現代戦、SFなど得意なジャンルを持っていて、それらは"看板タイトル"と呼ばれている。これらの人気は非常に高く、すでに実績があることから続編を出しても、お店側も安心して多く仕入れてくれるし、プレイヤーの受けだっていい。と、ここまで聞くと良いことづくめなのだが、これにはジレンマもあるのだ。それは看板タイトルが強力であればあるほど、新タイトルへのチャレンジがしにくくなるというもの。メーカーとしては、看板タイトルに加えて新規タイトルで新しいユーザー層を獲得したいところだが、リリースしてみると熱烈なファンからは「新しいのはいいから、あのシリーズの最新作をリリースしてほしい!」などと言われてしまうことも多いのだ。ある意味、熱烈なファンから開発タイトルを強制されてしまうというわけだ。実際そんな悩みを抱えているメーカーが多いのも事実である。

  • マップ上には様々なアイテムが落ちている。中には使い道が不明な物も……。

というわけで秀作でありながらも看板タイトルの陰に隠れてしまい、目立たなかったタイトルも多い。今回紹介するシステムソフト(現システムソフト・アルファー)の「冒険浪漫」(1986年)も隠れた名作で、「大戦略」(1985年)や、後にリリースされた「天下統一」の存在があまりにも強大だったために、影を潜めてしまった存在だ。知る人ぞ知る名作であり、残念ながら続編も登場しなかったが、現在のレトロゲームファンの間でも評価は高い。

  • 羽付帽子を装備すれば空の上へと飛んでいける。移動力は遅いがなかなかに便利。

パズル的アクションゲーム

主人公のドタは、バタ博士の助手として生活していたが、ある日バタ博士は禁断の古文書の解読に成功し、古代の秘法を行使してしまった。すると魔物が復活。町にはモンスターが徘徊することになったのだ。そこでドタは4匹のボスを倒して町を平和にすることにした……というのがバックストーリーである。

  • 地下に救うモンスター。敵の数には限りがあるので一度倒せば安全地帯になる。

ゲームはテンキーで四方向に移動、Shiftでジャンプ、スペースキーで攻撃を行う。マップには武器(マシンガン、銃、空気銃等)、帽子(鉢巻き、羽付帽子、トゲ帽子など)、メガネ(サングラス、水中めがね)といった装備品や、弾薬、薬(HP回復)、カギ、お菓子類(その場で回復)といった消費アイテムが落ちている。弾薬、薬、カギは最大9個まで拾え、自動使用という親切設計。ただし9個以上はストックされないので、状況によってはわざとアイテムを残して進み、後から戻ってきて利用するといったテクニックも必要となる。また装備品は各一種類しか装備できず、欲しい武器や帽子があったらその場で交換することになる。このあたりのマネジメントは実に面白い。

  • 各面の最後にはボスキャラもが登場。写真は1面のボス。弱点の目を狙え!

基本的にはカギを集めてマップを探索するが、カギを消費してマップを進むパズルアクションというと、難易度が高いことで有名になったアクション「ザ・キャッスル」を思い出す人がいるかと思う。しかし本作はアクションゲームにちょっとしたパズル要素がある程度なので、初心者でも十分に安心して遊べるレベル。レトロゲームは難度が高いことが多いが、今遊んでもかなり気楽に楽しめるのだ。ただし、セーブ機能がないのでプレイは一発勝負。全4面をクリアーするには、それなりの時間がかかるので時間のあるときにじっくりと遊ぶことをオススメしたい。ある程度やりこんで慣れてきたら、効率良い攻略ルートを模索したり、どう使うのか謎な武器(オニギリなど)を試行錯誤して戦う楽しみもある。また敵を倒したり落ちているお金を拾うことでスコアも稼げるので、そうした部分で記録を狙ってみるのも面白いだろう。

  • ボスが従えるザコはしなないので、攻撃を当てて移動力を下げておこう。

  • ゲームは4面構成となっていて3面あたりから難度がグッと上がる仕組みだ。

今のシステムソフトファンから見ると、メーカーのイメージとはまったくかけ離れているタイトルなので違和感はあるかもしれないが、レトロゲームファンの間では結構知られたタイトルとして、未だに人気もある。続編がコンスタントにリリースされていたら、ひょっとしたらシステムソフトの看板タイトルになっていたのでは? と感じさせる面白さはあるので、一度はチャレンジしてもらいたい。

  • マップ上のアイテムをどうマネジメントしてこう略するか? が攻略の秘訣。