ぽっぷるメイル

PC-8801ユーザーと日本ファルコムの甘い関係

 1990年代に入るとゲーム市場はPC-9801、X68000、FM-TOWNSなどの16/32ビット機へと移行し、当然のように8ビット機のタイトルは少なくなっていった。

  そうした状況にありながら、日本ファルコムはPC-8801対応タイトルを積極的に出し続け、同じ8ビット機のFM-7やX1への対応が終了しても、PC-88ユーザーは『スタートレーダー』や『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』といった新作が楽しめたのである。

そして、その極致が1991年12月にリリースされた『ぽっぷるメイル』である。本作は“PC-8801ファルコム純正アクションRPG”として発売されたばかりか、雑誌広告には“88ユーザーは全員が買うよーにっ!!”とのコピーが踊り、日本ファルコムのPC-88に対するヤル気を充分に示していたのである。

もちろん、後にはPC-9801を始め、コンシューマ機へも移植されているが、最も対応が早かったPC-9801でさえもPC-8801版発売から半年も遅れてのリリースであり、当時のPC-8801ユーザーは、こうした状況を見て優越感に浸っていたに違いない。

 ちなみに『ぽっぷるメイル』は、PCエンジン・メガCD・スーパーファミコンといったコンシューマー機へも移植されている。移植にあたってはマップやシナリオの追加、一部ゲームシステムの変更などが加えられたが、特筆すべき点はCD-ROM対応機種の移植時に声優が起用され、キャラクターに声が付いたことである。

  これにより『ぽっぷるメイル』は全7作ものドラマCDが発売され、その後もコミカライズや携帯アプリの配信がされるなど、息の長いタイトルへと成長したのだ。

ファルコムゲームの集大成!?

 『ぽっぷるメイル』の画面構成と戦闘システムには、それまでの日本ファルコムタイトルの影響が色濃く見受けられる。

  サイドビュー方式の横スクロールは『YsIII』、戦闘スタイルも体当たり方式の『Ys』で、魔法攻撃などは『YsII』、高い所から落ちると痛がるなどの演出は『ドラスレIV』、操作アクションでは『ザナドゥ』のようなテクニックも要求されるなど、アクションゲームとしての完成度は、さすが日本ファルコムと唸らせるほどのデキだ。

  物語は追い詰めた賞金首を取り逃がしたエルフの賞金稼ぎメイルのぼやきから始まる。自分が賞金稼ぎに向いてないんじゃないかと激しく落ち込むメイルだが、賞金稼ぎを辞めるにしてもお金はない。だが、立ち寄った砦の掲示板に$200万の賞金首の情報が! こうしてメイルは、最後に一花咲かせるべく$200万の賞金首の魔術師マテリアルを探すのだった……。

  ゲームはギャグ満載のシナリオで展開する。同社でおなじみのシリアスな雰囲気を想像してプレイすると面食らってしまうかもしれないが、主人公のメイルを始め、登場するキャラクターの個性が確立されており、実にテンポのよい物語が楽しめるのだ。

  前述した集大成的なゲームシステムと、新機軸のストーリーが噛み合った良作といえるだろう。

 ゲームは剣主体で接近戦が得意のメイルの他、ゲームを進めると遠距離戦を得意とする魔法使いの弟子タットや、滞空時間の長いジャンプ特性をもつ魔獣ガウの2匹+1匹が仲間になり、これらを上手に使い分けて進めていくことになる。

  軽快でポップなBGMは作品イメージとマッチし、オープニングをはじめステージクリアごとに挿入される幕間のアニメーションシーンや、使用キャラクターによって街の住人のセリフが変化するといった演出も楽しい。

 移植されるたびに仕様変更がされている『ぽっぷるメイル』。PC版でもPC-8801とPC-9801ではオープニングに違いがあるなど細かい変更点もあるので、全てのオリジナルとなったPC-8801版とPC-9801版、両方プレイするのはいかがだろうか。

Text by 静川龍宗

荘厳な雰囲気のオープニング(PC-8801版)だが、続きはギャグ風味?

オープニングより走るメイル。画像では伝えきれないのが残念。

賞金稼ぎメイル。$200万の賞金のためにがんばるエルフの少女。

タットはメイルの追う賞金首の魔道師マテリアルの弟子である。

洞窟に住んでいる魔獣ガウ。語尾に必ず「〜ガウ」つけて話す。

三者三様、キャラクターによって住人との会話内容が変化する。

最初の大ボス「ウッドゴーレム」との戦闘だ。伸びる腕に注意!

クリアのためには前のステージに戻りアイテムを入手する必要も。

ステージをクリアすると幕間にイベントシーンが挿入される。

ゲームオーバーの絵は各キャラクターで違うものになっている。


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