太陽の神殿

ファルコム最後のAVG!?

 1986年に日本ファルコムから発売されたAVG『太陽の神殿』は、『アステカ』の続編にあたるタイトルで、同社が同時期にリリースした高い難度のアクションRPG『ロマンシア』に匹敵するほどの難度を誇っていた他、独特なゲームシステムを採用していたことで知られる作品でもある。

  初期のAVGはプレイヤーが文字を入力してゲームを進めていくシステムが一般的であり、1984年にアスキーからリリースされた『オホーツクに消ゆ』で、コマンド入力方式が広く認知され、日本ではこれがAVGのスタンダードなスタイルになっていった。しかし本作ではフィールド・マップ式の場所移動やコマンドやアイテムをすべてアイコンで選択する独特の方式を採用しており、その画面構成は日本ファルコムお得意のアクションRPGを思わせるものとなっていたのである。このシステムはジョイスティック(ゲームパッド)で操作が可能という利点もあり、当時の国産AVGでは異色のシステムとなっていたことは間違いない。それは当時の広告の“RPG風味本格的AVG”というキャッチコピーからも感じとれるだろう。

  実はこうしたシステムは世界的には珍しくはなく、1983年に海外メーカーのシェラオンライン社が発売したAVG『King's Quest』ですでに採用されており、アメリカのAVGでではスタンダードなスタイルである。これは憶測の域を出ないが、ひょっとしたら『太陽の神殿』は、そうしたものを参考に作られたタイトルなのかもしれない。

  なお『太陽の神殿』が発売された1980年代後半は、AVGは難解な謎解きからストーリー性を重視する方向へと進んでいた時期でもあった。そして『太陽の神殿』のように、じっくりと腰を落ち着けて行う謎解きを重視したAVGは、その後の国産AVGでは次第に見かけなくなっていったのだ。やがて日本ファルコムもRPGに注力するようになり、残念ながら『太陽の神殿』を最後にAVGを発売することはなかった。

骨太な謎解きAVG

 本作の舞台は前作『アステカ』と同じく現代のメキシコだが、前作の舞台であった町やキャラクターは引き継がれておらず、熱帯雨林の中に点在するマヤ文明の遺跡を巡るというものになっている。そうした意味では、前作以上に巨石文明の遺構の中を探検しているような臨場感が味わえるだろう。

  また前述したように行動選択はアイコン方式となっている。このシステムの導入で文字入力や言葉探しという従来のAVGに見られるボトルネックは解消されているが、だからといって手応えがないわけではなく、様々な道具を組み合わせて使用するパズル的な要素、遺跡での突発的な死によるゲームオーバーがない代わりに、たった一度手順を間違えたことでハマり状態に陥ってしまうなど、腰を据えてじっくりとプレイするには充分な難度となっている。ちなみに『太陽の神殿』におけるセーブは、死なないためのものではない。正解を求めて幾通りもの手順を確かめるための機能だと覚えておこう。

 『太陽の神殿』の画面構成やアイコンでのアイテム選択、フィールドマップ上を動くシーンなどを見ていると、後にファルコムの看板タイトルとなる『イース』に近いものを感じ取れるが、実は『イース』と『太陽の神殿』の間には密接な関係がある。

  一部開発スタッフが重なっていることが強く影響しているのかもしれないが、『太陽の神殿』で失ったはずの“金の台座”が『イース』に出てきたり、見えないものが見えるようになる“マスク・オブ・アイズ”も共通して登場したり、PC-8801やFM77AVなど初期のPC版『イース』では、レアにハーモニカを返したときに演奏してくれる曲は『太陽の神殿』のオープニング曲“Templo del Sol”だったりするのだ。これらを省みると、両者のつながりの深さが充分にうかがえるというものである。

Text by 静川龍宗

フィールド上に点在する遺跡。上がカラコルで下が尼僧院である。

遺跡の各所にある4つの壁。普通の状態で訪れても意味はない。

高僧の墓に眠るガイコツ。これが遺跡の名にある高僧なのか。

戦士の神殿でジャガーに遭遇。危険が危ないジャガーをどうする?

カスティーリョの部屋で「金の台座」入手。売れば2000Gくらい?

アイテムを洗える南の泉。注意しないとアイテムを落とすことも。

泉に何かを落とした! いつか赤毛の誰かが拾ってくれるかも。

千柱の間は何度か訪れる。ゲームを進めるといつもと違う柱が登場。

多くのアイテムの中には、組み合わせて使っていくものもある。

取り返しのつかない失敗回避のため、こまめなセーブを忘れずに。


< アステカ スタートレイダー NEXT >