ドラゴンスレイヤーVI 英雄伝説II

ドラゴンスレイヤーVI 英雄伝説II

破壊神アグニージャとの戦いから20年後

ファーレーン王国のセリオス王子と、その仲間たちが破壊神アグニージャを打倒し、イセルハーサの世界を暗黒の脅威から救い出してより20年。セリオスは戴冠してファーレーン国王となり、ソルディス王国のディーナ姫を娶ったセリオスは今や一児の父親となっていた。セリオスとディーナの一粒種、アトラス王子は父譲りの金髪とまっすぐな目を持つ奔放少年であり、父がかつてそうであったように両親から離れて 村で養育されていた。

“リュナン”という仮の名に素性を隠して共に戦ったエリオンもまた故郷へと戻り、仲間の一人ソニアを娶ってヌラーラ王国を統治している。かつて、セリオスが僭主アクダムから王国を取り戻し時と同じ15歳に成長したアトラスは、王国の継承者となるべき教育をほどこされながら、教育係の眼を盗んで時折村を抜け出してはスライムいじめに熱中する、かつてやんちゃ盛りだった頃のセリオスとそっくりな少年に育っていた。

折しも、イセルハーサ全土を未曾有の大地震が襲い、大陸各地で「竜の卵」と呼ばれる建造物が大地より顔を出す事例が相次いだ。この災害を機に、王国の継承権を得る16歳の誕生日が間近に迫る息子に、単身各国を廻ってそれぞれの国主に親書を渡す試練を与えるセリオス。時代は父から子へと受け継がれ、新たな冒険が始まろうとしていた。

イセルハーサを巡る旅

1992年に発売された『英雄伝説II』は、前作『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』の直接的な続編にあたる作品。『ザナドゥ』や『イース』などの他シリーズとは異なり、時間的、空間的に連続した作品であり、前作のセリオスから息子のアトラスへと主人公の代替わりが行われてはいるものの、生き写しの親子として設定することにより、ゲームシステムは前作と殆ど変わらない形で継承されている。作中では20年という歳月が流れてはいるものの、ゲームのフィールドとなるイセルハーサの地理はそれほど変動していない。各地を巡るうちに、前作でセリオスが出会った懐かしい人々のその後の物語を見るだろう。リュナンやソニアはもちろん、ロウやアロン、ゲイル一世といった前作の登場人物たちとの再会もふんだんに用意されている。時間経過による大小様々なイセルハーサの変化を、プレイヤーキャラクターであるアトラスの目を通して確認することも本作の大きな楽しみどころなので、『英雄伝説II』を開始する前に、『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』を必ずプレイしておいて欲しいところである。

無論のこと、物語の舞台は前作で隅々まで駆け回ったイセルハーサのみにとどまらない。未知の新たなフィールドである地底世界ファーゲスタが、冒険者たちを待ち受けている。遥かな昔、地上と地底に分かたれた人間たち。両者にとって不幸な事件が、彼らを敵同士として再会させてしまうことになる。アグニージャの死の後、長き平和を満喫していたイセルハーサの人々と、見知らぬ世界への憧れを胸に旅立ったアトラス--そして彼を操作するプレイヤーはその行く手に待ち受ける運命のことを何も知らない。

本作はまた、『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』が『ドラゴンスレイヤー』シリーズから独立し、『英雄伝説』シリーズとして生まれ変わる節目の作品でもあった。イセルハーサを巡る物語はこの2部作をもって完結し、以後はガガーブ3部作、そして6月末にはシリーズ最新作が発売される『英雄伝説6 空の軌跡』3部作へと続いていく息の長いRPGシリーズへと成長したのである。

なお、『英雄伝説II』は日本ファルコムから発売されたPC-88シリーズ最後の作品である。

Text by 森瀬 繚(2010.04.30 掲載)

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