ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー

ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー

ファミコン世代の“はじめてのドラスレ”

1987年に発売された『ドラゴンスレイヤーⅣ ドラスレファミリー』は、『ドラゴンスレイヤー』シリーズ第4弾にあたる作品だ。とはいうものの、実は本作はMSXとファミリーコンピューターだけでリリースされたという変り種で、おまけに本作の発売時にはゲーム雑誌では同社の『ソーサリアン』の記事が大きく掲載されていたばかりか、次の最新作である『イース』が発売までの秒読み段階という状態であった。そうした背景もあって、特にPCゲームファンの中には本作をよく知らないという人も多かったのである。

とはいえ、そうした半面で本作は日本全国に普及していた国民ゲーム機ファミコンのソフトとして発売されたことや、ファミコン版は『ゼビウス』『ドルアーガの塔』『プロ野球ファミリースタジアム』など数多くのヒット作を発売し、ファミコン黄金期を支えたメーカーのナムコ(現バンダイナムコゲームス)が発売元だったことも手伝って、PCゲーマーにはイマイチでも、ファミコン世代には一番馴染みのあるドラスレになったといってもいい。   パッケージイラストはMSX、ファミコンともに共通で、いずれも『ロマンシア』のコミカライズなどを手がけた円英智氏が描いている。それ以前の日本ファルコムタイトルのパッケージと比べてキャラクターを前面に出し、年齢層の低いファミコンユーザーを意識したものとなっていた。

ドラゴン退治は家族とともに

それは昔のこと。小さな森に住むキコリのウォーゼン一家がおりました。おばあさんは孫たちに、かつて暴れまわったドラゴンのディルギオスと、ディルギオスを壁画に封じ込めて地中深くに埋めた魔法使いの話を聞かせていました。

「その魔法使いとは、お前達のひいじいさんなんじゃよ」

おばあさんがそう言って、壁に掛かったディルギオスの絵を指差したとき、ペットのポチが何かとがったものをくわえて扉から飛び込んできました。なんと、それは地中深くに埋められたはずのディルギオスのウロコだったのです! そのウロコを見たお父さんとお母さんは、ディルギオスの復活を感じとり、地下のダンジョンへと入る準備を始めます。そう、魔法使いの子孫である彼らの本当の仕事は、復活したディルギオスを倒すことだったのです。

『ドラスレファミリー』は、主軸はアクションRPGでありながら経験値もレベルもない、パズル要素の強いゲームである。ダンジョンは共通ルート以外では、特定のキャラクターでなければクリアが難しいルートがあるので、ブロックを動かせる父ゼムン、空が飛べてブロックを弾ける母メイア、クラウンとドラゴンスレイヤーを唯一使いこなせる兄ロイアス、ジャンプ力に優れブロックを破壊できる妹リルル、モンスターに変身して敵に触れてもダメージを受けないペットのポチといったウォーゼン一家を、攻略するダンジョンのルートごとにチョイスして進んでいくことになるのだ。

ゲームではディルギオスを倒すために必要なドラゴンスレイヤーを手に入れるため、ダンジョンに隠された四つの宝冠を集めることになる。ドラゴンを倒すという目的と、そのための手段と武器が、まさにドラスレシリーズである。また、ダンジョン内にはギミックとして“セリナ姫の絵”がある。セリナ姫といえば、ドラスレシリーズでは前作にあたる『ロマンシア』のヒロイン。ここにも、他タイトルからのカメオ出演的なファルコムらしいネタが仕込まれている。

PCのファンから見るとドラスレシリーズとしては異端児的な扱いであり、プレイするチャンスに恵まれなかったり、敬遠してきた人も多いかと思うが、この機会にチャレンジしてみてはいかがだろうか。ひょっとするとドラスレシリーズの新たな側面が見えるかもしれない。

Text by 静川龍宗(2011.06.04 掲載)

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